農業

【第4弾】遺伝子組み換えのきほん セラリーニ氏の論文を完全論破編

ゆかたん農学校学長です。

 

遺伝子組み換えシリーズも第4弾まできちゃいましたね!

第1弾 遺伝子組み換えの基礎はコチラ

第2弾 遺伝子組み換えの技術はコチラ

 

今日は遺伝子組み換えのデマについて説明しようと思います。

第3弾の記事で、遺伝子組換え作物は20年間積み上げられた研究によって危険なものではまったくないというお話をしました。

https://www.yucataan.com/2018/05/20/gmcrops-3/

 

で、そんなことにも関わらず遺伝子組換え作物を食べたラットがガンになったという研究が発表されました。

消費者
消費者
ほら言わんこっちゃな〜い!!!
ゆかたん
ゆかたん
まあ落ちつけ。(笑)

 

フランスのセラリーニ博士という方の論文なんですが、よく反GM派のサイトでこの論文が使用されているのがみられます。

 

この論文は専門家が検証したところ、かなり不備の多い論文です。

根拠に乏しく、考察も不十分。

すでにこの論文は撤回されています。

 

つまりこの論文はなんの説得力もない、ただ不安をあおるがためのものだったことを知ってください。

 

撤回されているのにこの論文を用いて反GMをうたうサイトなんかは信用しないようにね。

 

セラリーニの論文の概要

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論文の概要を簡単に説明しておこうと思います。

2012年、フランスの大学のセラリーニ氏らが発表した論文です。

 

簡単にいえば、「遺伝子組み換えとうもろこしを混ぜたエサを食べ続けたラットはガンが増えた。」という報告です。

 

Food Chemical Toxicology という科学雑誌に掲載されました。

この論文は乳ガンになり巨大な腫瘍をもったラットの写真が掲載されていてなかなかショッキングです。

写真が気になる方はコチラからどうぞ。(すこしグロいです)

 

実験内容とその結果

実験手法

GMコーンを11%・22%・33%混ぜたエサを、オス・メスのラットに2年間食べさせた。

1群は10匹である。

2年間食べさせて、それぞれ健康被害があったかどうかを比較した。

実験内容を簡単に言うとこんな感じです。で、結果はコチラ▼

実験結果
  1. GMコーンのえさを食べたメスの死亡率は、通常のエサを与えたラットの2~3倍で死亡時期が早かった。
  2. GMコーンを食べたラットは、通常のエサのラットよりも高い割合で早期乳がんが発生した。
  3. オスは肝臓と腎臓の障害がでた割合が多かった。
消費者
消費者
やっぱヤバいんじゃない!?
ゆかたん
ゆかたん
20年以上の安全性の研究が積みあがってるのに、真面目な研究者たちがぽっと出の論文に踊らされるわけがなかろう(笑)

 

彼らは論文を読んで多くの不備があることを指摘しています。一部を紹介します。

 

実験に対して他の研究者からの指摘

使用したラットの種類はガンになりやすい

使用したラットは寿命に近い時期(2年)まで飼育されていました。

  • 使用したラットの系統は17カ月を過ぎるとガンを自然発症するもの。ほとんどのラットは18カ月を経過してから発症している。
  • 通常のエサを食べたラットでも10匹中5匹で乳がんがみられた。
  • GMエサを食べたラットは7~8匹で発症しているが、自然発症の範囲内である。

ある程度の大きさになった腫瘍があれば、安楽死の対象になります。それでも飼育を続けていた彼らの倫理観もおかしいとの指摘もありますね。

 

消費者
消費者
結局、ふつうのエサでもGMコーンのエサでもガンの発生率は同じだったってことね。
ゆかたん
ゆかたん
ガンが自然的に発生しやすい時期なのに、GMのせいでガンになった!ってことを言ってるんだね。

 

使用したラットの数が少なすぎる

動物実験を行う場合、OECD(経済協力開発機構)で使用する動物の数のガイドラインが決められています。

 

それは、動物には個体差があるから。人間も一緒ですよね?

ガイドラインで決められているのは、

  90日間の実験を行う場合:1群10匹

  さらに長期の場合:1群20匹以上

  発がん性試験の場合:1群50匹以上

以上の内容に従って、ラットを使わなければならないんです。

 

1群っていう単位は、ひとつのグループってことです。

オスメスを分けて、「遺伝子組み換えが混ざったエサを食べるグループ」「普通のエサを食べるグループ」というようにそれぞれ必要なラットの数を用意しなくてはなりません。

 

消費者
消費者
この人の論文は1群10匹しか使われてなかったよね?
ゆかたん
ゆかたん
そう!たった10匹でガンになるなんて母数すくなすぎるでしょ!説得力なし。

 

これでは統計学的な検討ができないため、科学的信頼性がないんです!

決められたラットの数が満たされていない時点で、この論文は受け入れられないものになっています。

 

都合のいいデータしかとっていない

研究ってのは、いいデータも悪いデータも合わせて検討するものです。

だけど彼らの論文は都合の悪いデータは全部無視しています。

例えばこんな感じ。

オスでは、11%GMコーンが混ざったエサを食べたラットが一番早く死んでいる。

しかし、22%・33%GMコーンが混ざったエサを食べたラットは、通常のエサを食べたラットよりも長生きしている。

消費者
消費者
より多くのGMコーンが混ざったエサを食べたラットの方が、ふつうのエサを食べたラットよりも長生きしたってこと?
ゆかたん
ゆかたん
そういうことになるね!笑

 

11%という少ない量のGMコーンを食べたラットが早く死ぬのはまあいいとして。

「よりGMコーンが多いエサを食べたほうが長生きするかもしれない。」という結果については無視してるわけですよ。

 

消費者
消費者
都合のいいデータしか検討してないんだ?
ゆかたん
ゆかたん
とにかくGMコーンを食べて死んでしまったんだァアア!ってことを言いたかったんだろうね。

 

まあまだまだ指摘はあるんですけど・・・世界中の専門家たちがこれを非難したおかげでこの論文は撤回に至りました。

 

つまりこの論文はね、ガンの危険性があると断言できる資料がまず揃っていない。

そして資料が少なすぎて科学的な証拠不備であり、考察も不十分、再現性に乏しいわけです。

 

(再現性ってのはその論文を第3者が手順通りに実験したら同じ結果が得られるかってことです。科学の論文ではめちゃくちゃ大事。)

 

セラリーニ氏は論文取り消しに猛反対

そりゃそうだけど。なんならもう一回論文提出してるからねこの人。笑

 

彼は、「使用したラットはモンサント社(大手種子メーカー)と同じものだ。だからモンサントも同じような結果になるはずだ。」って言ったわけですけど、そりゃ違うわけです。

もうわかりますね?笑

 

ちなみに、論文はジャーナルに掲載される前に「査読(さどく)」ってのがあって、ほかの研究者が論文を読むんですよ。

 

矛盾がないかどうかとかチェックするわけです。査読がパスされないと科学誌なんかには掲載されません。

 

消費者
消費者
じゃあなんでこの論文がパスされたの?
ゆかたん
ゆかたん
知らん。

 

証拠のない科学に惑わされるな

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専門家たちによってこの論文は認められず、取り消されました。

 

でも取り消されたっていう報道はなかなかされないわけです。

未だにこの論文を使って人々の不安をあおる人間がいるのも確か。

 

こういう悪い情報だけメディアは食いつくしね。

とっくに撤回されているのに未だに反GM派のひとたちはこの論文を引っ張ってくるのってどう思います?

全然フェアじゃないよね。

 

正直、専門的知識にうとい人間がこの論文を説明されたら信じたくなるのも理解できます。

 

わたしたちって研究者が言っていることはすべて正しいって思っちゃうもん。

いや正しいんだけどね!

ほんの一部、こういう不十分な研究を世に出してしまう人間もいるってことです。

 

だから、この記事を読んだみなさんはもうだまされないでください。

 

今の今まで遺伝子組み換えとうもろこしにガンになる成分が発見されたことはありません。

このセラリーニとは比べ物にならないほど細かく、しぶとく遺伝子組み換えの安全性を研究しているひとたちが世界にはたくさんいます。

 

もうすこし科学を信用してもいいんじゃないですか。

 

ってことで遺伝子組み換えのデマはまだまだあるんですけど、大いに勘違いされていそうなセラリーニをまずは説明しました。

 

んじゃ今日はここまで!次回は遺伝子組み換えでよくある質問をまとめたよ!

お楽しみに!したっけね。

https://www.yucataan.com/2018/05/22/gmcrops-5/

最終章、第6弾デメリット編はコチラから▼

https://www.yucataan.com/2018/05/24/gmcrops-6/