生き方

高3の冬、ひとりのおっちゃんがわたしの人生を変えてくれた

高校3年の冬だったと思う。

 

大学受験を控えていたわたしたちは、今思えば何の必要性も感じられない

「総合の授業」を受けていた。

 

定期的に外部から講師を招き講演をしてもらっていたのだった。

 

また今日もこれか・・・それなら帰って勉強していた方がマシだとズルして帰宅する生徒もいた。

 

でもこの日の講演は後に自分の人生を180°変えてしまう。

その日招かれたのは、植松電機 植松努 さんだった。

町工場のおっちゃんこと 植松努さん

www.youtube.com

現在、TEDに20分の短い時間でのスピーチがのっているので見てほしい。

 

「思うは招く。」彼の講演はその言葉から始まった。

わたしたちは「どーせむり」という言葉にがんじがらめになっていると彼は言う。

 

どーせむりから「こうしてみればいいんじゃない?」と発想を変えることで自分の夢をかなえようと唱えているのだ。

 

どーせむりに屈しなかった植松さんは自分の好きなことを仕事にするという夢をかなえた。

 

それは君たちにもできることだよ、とわたしたちに教えに来てくれたのだった。

そんなこと言ってくれた大人は今までひとりもいなかったのだ!!!

 

植松さんもわたしたちもどーせむりに支配されていた

高3の冬、わたしは自分の人生に絶望していた。

 

なにもできない人間だったからだ。

大学でやりたいことも得意なこともなかった。

 

当然勉強のやる気もなく、進学する理由自体見失っていた。

いい大学に行かなくてはいい就職先が見つけられない。

いい就職先でなければ給料が低くて生活できない。

お金のために働かなくてはならない。

でも進学したい大学がない。どうしたらいい?ってずっと悩んでいた・・・

 

進路指導はみんな自分の能力に見合った大学に進学することを勧められる。

大学進学が前提なのも不思議だけど。

 

おまえには無理だよとか平気で教師に言われるのだ。

 

植松さんも一緒だった。

子供のころから飛行機やロケットが好きで、設計図の勉強からプラモデル作りやら解体やらとことん突き詰めていった少年だったそうだ。

 

それは学校の役には立たなかった。学校の成績は悪く、教師に殴られ孤立していった。

大学進学をしようとするも彼はまたもや大人に進学を阻まれる。

その成績じゃおまえなんか無理だと。

 

それでも合格した工業大学で彼の今まで培ってきた知識は大学で開花するのだった。

信じ続けたその先にはこういう人生が待っていたのか・・・子供時代はつらかったろうなあと同時に、

 

こんな人間がいるのか!!!と目ん玉が飛び出てたと思う。

 

やりたいことを仕事にしている大人はいるらしい

植松さんが見せてくれたのは大の大人が泣いている動画だった。

 

幾度もの失敗を重ね、やっと完成したロケットを打ち上げる時の動画だ。

「こんな大人もいるんですよ?笑」って微笑んでいたような気がする。

 

ロケットの打ち上げが成功して大の大人が喜び泣いていたのだ!

互いに飛び跳ね、抱き着き泣いていた。

と同時にわたしも泣いていた。笑(こっそり)

 

こんなに感情を爆発させて楽しそうにして働いている大人は周りにはいなかったのだ。

純粋に自分の夢や目標を追いかけている大人がいるんだ!という驚きがすごかった。

 

わたしもこんな大人になりたい!!!

こんな大人になれるんだろうか?!

 

胸の中に広がったのは暖かい感情と希望だった。

やりたいことを仕事している大人がいるという事実それだけでインパクトがすごかった。

それに、わたしの人生の指針も決まったようなものだった。

好きなことで生きていく、と。

 

どーせむりで諦めることをあきらめた

「ロケット開発は手段でしかない」

植松さんはロケット開発は自分の夢の手段でしかないと言っていた。

 

高3のわたしはその意味がわからなかった。

手段ってなんだ?

 

今ならその意味が分かる。

自分の人生でやっていることは夢や自分の求める生き方の手段でしかないこと。

 

何かが完成したらそれで終わりではないこと。

お金がたくさんある人生は必ずしも幸せではないってこと。

 

あの頃のわたしは大人の敷いたレールの上に乗っかるばかりで、完全に思考停止していた。

でも今は違う。自分のことを信じられるしやりたいこともやれている。

それは植松さんが教えてくれたんだ。

 

誰かの人生を救う人生にしよう

植松さんを高校に招くなんて今は簡単にできないだろう。笑

今思えば講演してくれたのも奇跡だ・・・・

 

なにがあっても思っていれば大丈夫だと思えるのは彼のおかげ。

 

ひとりの人生を救ってくれてありがとう。ってほんとは直接言いたい。

どこかでお会いできたらなあ。彼に会える人間になろう。

 

みんなもTED動画だけでなく、書籍もあるので彼の考え方に触れてみてほしい。